Illustration
白い紙の上に、一本の線が落ちる。
それはただのインクの軌跡にすぎないはずなのに、描くたびに風が生まれ、音のない鐘が鳴り、遠い記憶の中に沈んだ城が、ゆっくりと姿を現していく。
ペン画は、沈黙の芸術だ。
色を持たず、語ることもなく、ただ無数の線が重なり合い、見えない光を描き出す。
このブログでは、そんな静寂の中で紡がれる“線の物語”を綴っている。
描く対象は、どこにも存在しない城。
けれどその輪郭は、確かに心の奥で息づいている。
In every line, there lies a memory — a fragment of a dream that refuses to fade.
Each stroke of the pen is a whisper to the past, a dialogue between hand and silence.
Through ink, I seek not perfection, but presence — the quiet truth that lingers in imperfection.
空を見上げる塔、崩れかけた壁、風をはらむ尖塔。
それらは誰かの祈りの跡であり、私自身の内にある“まだ見ぬ希望”の形でもある。
ペンを動かすたび、過ぎ去った時間と未来が紙の上で交差する。
そして、その交点に立ち上がるのが「幻想の城」だ。
“Drawing a Fantasy Castle with Pen” — it is not about depicting what is seen,
but about revealing what is felt.
A castle born of solitude, surrounded by the mist of memory,
built not with stones, but with moments.
ペンの音は、心の鼓動に似ている。
早すぎてもいけない。
ゆっくりと、呼吸のように、リズムを合わせながら描く。
線と線の間には沈黙があり、その沈黙こそが絵を生かす。
光は、インクの隙間から滲み出る。
闇は、描かれぬ余白の中に宿る。
I draw to remember.
To remember the scent of forgotten rain,
the sound of wind passing through ancient stone,
the warmth of light that once touched a crumbling wall.
Each drawing is a fragment of a story I cannot fully tell,
a language written in shadows and silence.
このブログでは、ペン画の制作過程だけでなく、
“描く”という行為の内側にある思考や時間、そして孤独の意味を記していく。
ペンの先に宿る感情は、言葉よりも正直だ。
その線が震えるとき、心のどこかが反応している。
それを信じて描く。
世界のどこにいても、人は誰しも心の中に“自分だけの城”を持っている。
それは守るための城でもあり、夢を封じ込めた塔でもある。
このブログが、あなた自身の城を思い出すきっかけになれたら嬉しい。
In this place, I share not just drawings, but fragments of thought —
moments when ink becomes memory, and memory becomes form.
Art, for me, is not escape, but return.
A return to the place within, where the soul still believes in beauty.
紙の上に描かれる城は、いつも未完成のままだ。
完成とは終わりではなく、呼吸の一区切り。
次の線を引くために、私はまた静かにペンを取る。
その先に広がるのは、誰も見たことのない世界。
けれど、その世界は、確かにここにある。
──幻想の城を、今日も描き続ける。
Because somewhere within the quiet lines,
the world still whispers: “Draw me again.”
メイキングーMAKING