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水彩とペンで描く、風をまとう馬の表現~A Horse Embraced by the Wind~


来年の干支、馬を描いたものを、ちょい見せ。


English Summary (about 120 words)

This watercolor painting depicts a horse moving through the wind, capturing both strength and quiet emotion.
I used Holbein transparent watercolors and pen on White Watson paper, size F4.

Rather than focusing on precise details, I aimed to express movement and atmosphere.
The initial sketch was kept loose to preserve the natural flow of the horse’s form.

Soft blue tones were layered in the background to create a sense of air and space, allowing the watercolor to bleed naturally.
Warm browns and subtle grays were added gradually, embracing uneven textures and brush marks as part of the expression.


Pen lines were applied only where necessary, enhancing the face and contours without overpowering the watercolor.
This piece reflects my belief that watercolor’s unpredictability can bring life and emotion to an artwork.




――ホワイトワトソン×ホルベインで描くF4原画の制作過程――

今回描いたのは、風の中を駆け抜けるような「馬」をモチーフにした水彩画です。
力強さと同時に、どこか静けさや儚さも感じられる表現を目指しました。
使用した画材は、ホワイトワトソン紙、ホルベイン透明水彩、ペン。サイズはF4です。


1.下描き:形を決めすぎない

まずは鉛筆で軽く下描きをします。
この時点では、細部まで正確に描き込むことは意識しません。
馬の骨格や首の流れ、たてがみの動きなど「大きな流れ」だけを捉えるようにしています。
特に今回は、風になびくたてがみの動きを大切にしたかったので、線を固めすぎないよう注意しました。







2.最初の水彩:空気感をつくる

下描きの上から、薄く水を含ませた筆で背景を塗っていきます。
ブルーやターコイズ系の色を中心に、にじみを活かして空気感を表現しました。
ホワイトワトソン紙はにじみが美しく出るため、筆跡をコントロールしすぎず、
「水が動くままに任せる」感覚を大切にしています。











3.馬の色を重ねる

背景が少し乾いたら、馬の部分に色を置いていきます。
茶系やオレンジ、少しグレーを混ぜながら、単調にならないよう注意しました。
一度で完成させようとせず、薄塗りを何度も重ねて奥行きを出します。
にじみやムラも、この作品では表情の一部としてそのまま残しています。









4.ペンで輪郭と表情を整える

完全に乾いた後、ペンで輪郭や目元を描き込みます。
すべてを線で囲うのではなく、必要な部分だけに線を入れることで、
水彩の柔らかさを損なわないようにしています。
目は特に慎重に、強くなりすぎないよう意識しました。










5.仕上げ:描きすぎない勇気

最後に全体を見直し、「これ以上描くと壊れる」と感じたところで筆を置きます。
完成の判断はいつも難しいですが、今回は勢いと空気感を残すことを優先しました。


水彩は偶然性のある画材です。
思い通りにならない瞬間もありますが、その偶然こそが作品の魅力になると感じています。
この馬の絵も、計算しすぎず、感覚を信じて描いた一枚です。
見る人それぞれが、風や物語を感じ取ってくれたら嬉しいです。




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